初めて母親になったと実感し、涙が出てきました…

 2,560gで生まれた息子は、出産後すぐ直接母乳に吸い付く事が出来ませんでした。

乳頭が吸い付きづらい形である事と、赤ちゃんの吸い付く力が弱いからという理由です。出産した病院では、シリコーン製の乳頭保護機を付けながら授乳をしていました。「3,000gくらいになれば自然と直接飲めるようになるから」そう言われ退院しました。そうはいっても練習はした方が良いだろう、と思い何度もやってみるのですが泣き叫ばれるばかりで、全く上手くいく気配がありません。哺乳瓶などの乳首では簡単に飲めてしまうので、それに慣れた赤ちゃんは直接母乳を吸う事が出来なくなる、という事を聞いた事があったのでとても焦り、不安になりました。せっかくおっぱいが出ているのだから、直接母乳育児をしたい! と産後2週間で母乳相談室を訪れました。

 市川先生は、手技をしながら今までの頑張りを労い、周産期の話まで親身になって聞いて下さり心がほぐれていくようでした。そして、息子が吸い付けるような補助を丁寧に指導して下さいました。すると、息子は魔法でもかけられたかのように ”パクッ チュッチュッ” と確かに直接おっぱいに吸い付いたのです。その瞬間は今でも忘れられません。初めて母親になったと実感し、涙が出てきました。それから10日程の特訓の末ようやく、自然な授乳が出来るようになりました。

 しかし、ほっとしたのもつかの間。すぐに母乳の出過ぎで悩む事になりました。息子が飲むより遥かに多く分泌されてしまうのです。まさか、そんな事で悩むなど思ってもいませんでしたが、2時間保たずにすぐにカチカチに張って痛いし、授乳前には毎回搾乳して飲みやすい状態にしなくてはいけない。その搾乳が数十分に及ぶ事もしばしば。搾乳は場所を選ぶので気楽に外出できない事と、夜間の授乳は特にストレスでした。これではミルクの方が楽なのでは?といっそ母乳育児を止めてしまいたくもなりました。しかし、誰に話しても贅沢な悩みと、共感してはもらえず、悩んでいはいけなんだ、と孤独な思いでした。

そんな中、同じ悩みを持つお母さんに相談室で会えた事は、とても心強いものでした。
4ヶ月過ぎから徐々に、そして8ヶ月の頃には完全に、需要が供給に追いつき、ようやく、楽チンで楽しいおっぱい生活を満喫できるようになりました。

1歳5ヶ月になった今では、「おったぃ、おったぃ(おっぱい、おっぱい)」と言いながら、お決まりの授乳場所であるソファまで、私の手引いていきます。飲みながら「おいしぃ」とかわいい声で言ってくれます。おっぱい続けてきて良かったなぁ、と思える幸せなひと時です。

母子の絆を深める素晴らしいおっぱい育児。そのフィナーレまで、もう少し先生にお世話になろうと思います。

Copyright(c) 2012-2017 吉祥寺はな母乳育児相談室 All Rights Reserved.