下手な搾乳であざだらけになり、瀕死の状態だった私のおっぱいを何とか復活させようと…

吉祥寺はな母乳相談室のオープン、おめでとうございます。

 私が前身の吉祥寺母乳相談室をお伺いしたのは、2006年5月のことでした。28週で生まれた小さな息子は、NICUに入院中で、懸命の成長を続けていました。産後直後のNICUへの毎日の通院、赤ちゃんが手元に居ないのに続く夜中の搾乳、早産のショックなど重なり、母乳は枯れかけていました。それでも息子に何とか母乳を届けたく、必死にNICUで搾乳を続けていたところ、その姿を見ていた同じNICUに通っていた方が、桶谷式を紹介してくれました。

 吉祥寺はな母乳相談室の市川先生は、下手な搾乳であざだらけになり、瀕死の状態だった私のおっぱいを何とか復活させよう、息子が飲めるようになるまで枯れないようにと、毎日毎日、NICUに通う時間に合わせて手技を行ってくださいました。母乳は勿論ですが、早産で途方に暮れ、疲れ果てていた私の相談にも乗ってくださり、励まし、時に厳しく意見をしてくださり、私の気持ちもたくさん救って頂きました。母乳はその後、息子が退院し、息子自身が母乳から離れるまで、量はわずかでしたが飲ませることが出来ました。普通の母乳育児のお母様からみたらうんと短い期間ですし、母乳育児とは言えない量でしたが、せめて息子が直母(直接、おっぱいに口を付けて飲めるよう)になるまで、それを超えたらせめてNICU退院まで、それも超えたら自宅で自由に時間を気にせず吸えるまで、という気持ちを十分に補ってもらえ、私も母親としてNICUで頑張る息子のために、何か頑張れたという気持ちを頂きました。その気持ちは、その後の私の育児のかけがえのない大きな支えになっています。

 桶谷式に通うお母様方は、母親になって最初の母乳育児という道を、必死に頑張ろうとしていらっしゃる方だと思います。初めて子供のいる暮らしになり、時に疲れ、時に答えのわからない悩みにぶつかることもあるかと思います。そんな時には一人で溜め込まず、例えば母乳育児の悩みなら母乳相談室を訪れる、等のように、悩みを正しく解決できる場所を見つけることが大事だと思います。今の情報の多い世の中は、時に母親を混乱させ、余計に悩ませます。私も息子の成長や発達について、溢れる情報で混乱に陥ることも多々ありました。物をみる角度や立場が違えば、同じ子供の幸せを真剣に考えてくださる意見でも大きく異なり、どれも全て正しく思え、悩むこともあります。子供の幸せを願う母親は迷って当然ですが、その時に情報に踊らされないよう、自分が最終的に信じるものを決めておくことも大事かと思います。

 一番の子供の幸せと成長の素は、母親のわが子に向ける笑顔と、どんな時も子供を信じる気持ちだと感じます。私自身母親になってまだたったの6年目、迷うことも悩むことも多く、どっしりした母親には到底なれていませんが、日々子供に教えられ、折々に肝に銘じています。
まだ人生を自分で選択できない赤ちゃん、子供は、与えられた環境を前向きに受け容れて、とにかく“生きてゆこう”と無心の努力をします。その姿、生きることへの真摯な姿勢に、私自身、母親としてどれほど励まされ、逆に育てられているか分かりません。

 宝物を授かったお母様の笑顔と赤ちゃんの穏やかな幸せを、吉祥寺はな母乳相談室の益々のご発展と共に、心よりお祈りしております。

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